どんな歌が聞こえる?

 これはボクが月一回成城学園の支援施設に行っている仲間たちの作品。

 いろいろな色と形と線が元気一杯、それぞれの存在を主張して、圧倒される。

 「ここはあーしよう、あそこはこんな形で、そこは少し暗い色で・・・」そんな作為が全くない。

 いろいろなダンボールの切れ端にたくさんの仲間が色を塗り、大きなダンボールの箱にテキトーに貼っていっただけ。(実はゴミ箱・・・)

 手前のペットボトルは、仲間の一人がアートの時間、アクリル絵の具をつけたビー玉をペットボトルに入れて、持ち歩く活動で生まれた作品。(名付けて「歩くアート」)小さなライトを入れると、しぶーいアートスタンドにもなる。

 それらを部屋の片隅に置いていたのでパチリと撮った。

 すると、思わぬ歌、詩が聞こえてきた。

 言葉にするのは難しいけれど、無作為の豊かさ、ノイジーな脈動、絡み合う者たちのアナーキーな広がり、フリージャズのセッション・・・おおげさだけれど、そんな感じだ。

 じっと見ていると、ボクはボクらの生き方を規定している社会ルールや常識、忖度・・・そんなものとはかけ離れたノイジーなものの豊かさをもう少し大切にしたほうがいいんじゃないかという気持ちになってくる。

 ノイジーなものは社会ルールを乱すものとして、いつも排除の対象になってきたけれど、表現の世界ではノイジーを感じないものはその存在意義を失っているのじゃないかとさえ思う。

 仲間たちの作品は、そういった意味では現代アートの最先端である。自分のオリジナリティーを求めて彷徨う知的アーティストをはるかに超えて、独自の道をまっすぐ進んでいるからだ。

 そんなアーティストたちの作品を見て、あなたはどんな歌や詩を感じるだろう?